Interview with a Professional

オリーブオイルの鑑定士に聞く
プレミアムオリーブオイルの
秘密

お手頃なものから高級なものまで、幅広い価格帯から選ぶことができるオリーブオイル。中には、1本3,000円を超えるプレミアムなものもあります。スーパーなどで買える身近なオリーブオイルとの違いは、どこにあるのでしょう。そして、一体どの点が“プレミアム”なのか…。

今回は、その秘密を知っていただくために、オリーブオイルの鑑定士に「プレミアムオリーブオイル」について解説していただきました。

JOYLオリーブオイル
官能評価パネルリーダー
水野 勢技世

Sekiyo Mizuno

2000年にIOC公定法に準拠したオリーブオイル風味鑑定技術を習得し、2012年にマスターオリーブオイルソムリエ資格を取得。国際オリーブオイルコンテスト「OLIVE JAPAN®」、香川県オリーブ品評会等の審査員も兼任するオリーブオイルの第一人者。
入社以来30年以上にわたりオリーブオイルの品質管理に従事し、現在はオリーブオイルの開発企画・鑑定士育成のほか、オリーブオイルの伝道師として講演活動も行なう。

本場スペインで国際オリーブ協会(IOC)のテイスティング技法を習得。
世界水準の鑑定士を育成。

水野さんは鑑定士のお仕事だけでなく、若手育成にも取り組まれているそうですね。

私は長年、オリーブオイルの品質に関わる実務を担当してきました。日本の市場が広がるなかで、世界に通用する基準を身につけねばと感じ、国際オリーブ協会(IOC)の技術を習得したのです。以来、日本のオリーブオイルが世界水準を保てるよう、後進の育成にも努めています。今では社内に、約30名もの鑑定士がいる官能評価チームとハイレベルな分析が可能な理化学チームがおり、どちらも世界で認められたプロ集団と言えます。

天然のジュースと言われるオリーブオイル。
大切なのは、新鮮さとテロワール、そして品質管理。

まずはオリーブオイルについて、知っておいた方がいい基本的なポイントを教えてください。

オリーブオイルは他の植物油とは違い、種ではなく実を絞り、脱臭、脱色などを行なわずにそのまま使います。そのため、栽培・収穫・搾油・保管といった各工程で、果実やオイルへのダメージを最小限に抑え、いかに新鮮さを失わせないかが重要となります。本当に手間のかかる大変な作業なのですが、だからこそ各工程のリスクを徹底的に管理し、丁寧に愛情を込めることで、他にはない果実そのものの味わいを楽しめる、まさに“天然のジュース”を思わせるほど新鮮なオイルができあがるのです。

なによりも生産工程のリスク管理と、丁寧な作業が重要なのですね。他にはどんなことがありますか?

1,600以上の品種があるといわれるオリーブ。そのオイルの風味は、グリーンな香りが際立つものから、アーモンドのようなコクを感じるもの、さらには香辛料をイメージするエキゾチックな奥行きのあるものなどバリエーションが豊かです。
それは品種に加えて、風味に影響を及ぼすその他の様々な要因がかけあわさった結果ですが、その中で大きな要因の一つはテロワールです。ワインでもよく言われる、畑を取りまく自然環境のことです。果実の味わいを楽しむオリーブオイルだからこそ、産地の自然が与える影響は大きく、見逃せない重要な要素となります。

では、オリーブオイルが出来上がった後で、大切にしていることは何ですか。

それはもちろん、品質管理に尽きます。大切につくり込まれてきたそのオリーブオイルの風味を劣化させずにお客様に召し上がっていただくために、輸送時、保管時のすべてにおいて管理を徹底しています。特に酸化を進みにくくするためには手を抜けません。

オリーブオイルの搾油風景

一歩踏み込んでこだわることが、
プレミアムオリーブオイルの卓越した味わいを生む。

プレミアムオリーブオイルと他のオリーブオイルとの違いは、どこにあるのでしょうか。

やはり、手のかけ方、力のかけ方が、他のものとは違います。たとえば、収穫方法、収穫のタイミング、搾油時の温度、保管時の温度管理等、一般的な工程管理や品質管理で十分基準を満たしていたとしても、さらに一歩踏み込んで、より高品質なオイルとなる努力を重ねているのです。本来の味わいをよりクリーンに、シャープに感じ、その卓越した調和を探し求めることによって生まれる。それがプレミアムオリーブオイルです。

オリーブオイルの成分を分析するために緻密な作業を行なう

テロワールや素材そのものについてはどうですか。

現地の生産者の方からは、土地の力も非常に大きいという話をよく聞きます。一生懸命に愛情を込めて育てている生産者は、やれることはやりつくし、もう十分に手は尽くしきっている。そこまでいってさらにもう一歩、本来のオリーブオイルの良さを得ようとしたら、土地(テロワール)の力。水はけの良さや日照時間等、元気な美味しい果実を育てることのできる土地の力が、最後の一歩の卓越した違いを生み出しているということのようです。

「ひとさじの旬」は国産のプレミアムオリーブオイルですね。

日照時間や雨の多さのせいか、国産のものは比較的、繊細でやさしい風味のものが多く、結果的に和食と合うと言われています。その中でも「ひとさじの旬」は心地よいスパイシーさとフルーティさがしっかりとあり、品種による風味の違いがよく出ています。コロネイキ種はシトラスのような爽やかな香りを持ち、アルベキーナ種はシナモンのようなエキゾチックな香りでコクのある味わいです。日本ならではの丁寧な手摘み収穫や選果が行われており、輸送時間もかかりません。まさにプレミアムといえるオリーブオイルです。

1つ1つ丁寧に手摘みで収穫されるオリーブの実

もうひとつのプレミアムオリーブオイル「GOUTIS ESTATE(グーティス エステート)」は、
今年のオリーブジャパンで金賞を獲ったとお聞きしました。

そうなのです。グーティス エステートは、“オリーブオイルの聖地”と言われるギリシャ生まれのプレミアムオリーブオイルなのですが、今年、金賞を受賞し、さらに、その一つのMILLER'S BLENDは国別カテゴリーでギリシャ内No.1をいただきました。4種類それぞれの品種に合ったテロワールで育てていることで、しっかりとした風味の違いを楽しんで味わえます。
また、摘果から搾油、日本への輸送にいたるまで、徹底した温度管理にこだわって劣化を防いでいます。

海岸沿いにあるGOUTIS ESTATE BREEZE(ブリーズ)の農園
火山性の沈殿物から成る土壌もオリーブの生育に重要な役割を担う

プレミアムオリーブオイルであり続けるために。
欠かすことのできない、理化学分析と官能評価

まずは、理化学分析について教えてください。

理化学分析は品質や純粋性を確認するために重要な分析です。国際オリーブ協会(IOC)によって多くの分析項目の基準が設けられており、それに沿って、理化学分析チームでは様々な先端機器を分析を行なっております。また定期的な訓練やモニタリングを受け、分析能力の維持と向上を図っています。

日本企業で初めて取得したという国際オリーブ協会(IOC)認定のタイプB認証とはどういうものなのでしょうか。

オリーブオイルの分析能力が世界水準にあると評価された証です。当社のオリーブオイル理化学分析チームは、2018年12月に日本企業で初めて「オリーブオイル理化学type A認証」を取得し、その後も継続認定を受けました。そして2021年に、type A認証よりさらに試験項目数が多い上位認証であるtype B認証を、日本企業で初めて取得しました。
またIOCのオリーブオイル理化学認証試験を毎年受験し、認証を継続しております。

ガスクロマトグラフィーを用いて成分分析をする様子
高い分析精度を得るためには訓練された技術と経験が求められる

官能評価チームもアメリカ油化学会(AOCS)からの認定を受けたそうですね。

はい。うれしいことに5年連続で認定を受けました。官能評価チームの鑑定士は、濃度を少しずつ変えた12種類のサンプルをテイスティングし、その濃度の差を識別するテストを受け適正が認められたメンバーです。グラスに入れるオイルの量や温める温度などもIOCでの細かい規定があり、その見極めには適性と経験が必要です。認定は取るだけではなく、取り続けることが大変なのですが、J-オイルミルズには官能評価と分析のそれぞれに世界が認めるプロがいて、両面から厳しく品質管理ができていると証明されていると思います。

オリーブオイルの官能評価風景
鑑定には研ぎ澄まされた集中力と認識力が求められる

オリーブオイルが得意ではなかった方にこそ、
プレミアムオリーブオイルをぜひ試してほしい。

鑑定士のお立場から、どんな方におすすめしたいですか。

実は、オリーブオイルがあまり好きではないという方にこそ、プレミアムオリーブオイルを味わってほしいと思っています。たまたま出会ってしまったもの好みの味でなくて、オリーブオイル自体が苦手になってしまった方もいると思います。しかし、それは非常にもったいない。オリーブオイルの風味は様々で、好みが分かれるからです。
私自身、プレミアムオリーブオイルは本当においしいと感じており、自信を持っておすすめできます。
ですので、苦手な方にこそぜひ一度お試しいただいて、お好みの風味のオリーブオイルを見つけてほしいです。そして日々の生活の中での大きな楽しみの一つである“食事”にオリーブオイルをぜひ加えていただきたいのです。

おすすめの使い方はありますか。

プレミアムオリーブオイルは、風味が際立っているので、生で楽しむ方がおすすめです。
油というより調味料として、いろいろな組み合わせを試して食事を楽しんでいただきたい。付け加えますと、愛情を持って扱わないと劣化してしまう商品ですから、オリーブオイルについてしっかり理解している、信頼できるメーカーから購入できると安心だと思います。

今回使⽤した商品

GOUTIS ESTATE

グーティス エステート

オリーブオイルの聖地・ギリシャ生まれのプレミアムオリーブオイル。
単一品種、ブレンド品種の計4種類あり、四季の食材とのペアリングが楽しめる。

「GOUTIS ESTATE」について詳しく見る

ひとさじの旬

 

静岡県産のエクストラバージンオリーブオイル。
手摘み収穫・24時間以内搾油を徹底しており、国産ならではの新鮮で繊細な風味が味わえる。

「ひとさじの旬」について詳しく見る

まとめ

日本のオリーブオイルの鑑定士の先駆け的存在、水野さんにお話をお聞きしました。知るほどに、鑑定士や研究員の方々の努力とこだわりが感じられるプレミアムオリーブオイル。国産の「ひとさじの旬」とギリシャ産の「GOUTIS ESTATE(グーティス エステート)」、そのテロワールの違いが際立つフレッシュな風味を、ぜひ比べて味わってみたいと思いました。

取材・⽂/前田ゆう子 撮影/杉本晴

株式会社J-オイルミルズのロゴ

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